よくわかる!太陽光発電システムの基本知識

節電など多くのメリットをもたらす太陽光発電システムですが、十分な理解をしていないまま導入してしまうと、期待していた効果が出ないこともあります。まずは太陽光発電システムについて基本を理解し、目的や設置場所に合わせてさらに詳しい情報を集めていきましょう。

太陽光発電システム導入の目的

自家消費に回すことで節電

1つ目の目的は、太陽光発電でつくった電気を自宅で消費することによる電気代の削減効果です。太陽光発電システムで発電した電気を使用することで、電力会社からの電力購入量を削減できます。

売電による収益

2つ目の目的は、余剰電力を売電することで収益を得ることです。売電価格は年々下降傾向にありますが、太陽光発電の普及を促進するために定められた「固定価格買取制度」によって一定の金額が一定期間保証されるため、一定の収益が得られることはほとんど確定している状態です。売電のためには後述する蓄電池が必要になります。

エコへの貢献

3つ目の目的は、地球温暖化やエネルギー資源に関する問題への対策という観点から、エコへ貢献できるということです。

太陽光発電は火力発電と比べて二酸化炭素の排出量が少ないと言われています。火力発電の場合、化石燃料を燃焼させてエネルギーを取り出す過程で二酸化炭素が発生してしまいますが、太陽光発電の場合、太陽光のエネルギーを変換して電力にする過程で二酸化炭素がほとんど発生しません。そのため、地球温暖化対策として注目されています。

また、限りのないエネルギー源であるという観点からも太陽光発電はエコへの貢献につながると考えられます。火力発電は化石燃料のように限りある資源を使用しているため、資源が尽きたら電力供給も途絶えてしまいます。しかし、太陽光発電であれば半永久的にエネルギーを取り出すことができるため、長期的に電力供給を行うことができます。

太陽光発電システムの仕組み

システムの全体像

太陽光発電システムの仕組みは、簡単にいえば「ソーラーパネル(太陽光パネル)」で太陽光のエネルギーを電気エネルギーに変え、「パワーコンディショナー」で家庭でも使える形式の電気に変換する構成になっています。それぞれのポイントやより細かい構成については以降で解説します。

ソーラーパネル(太陽光パネル)

ソーラーパネルは太陽電池素子で太陽光を受けてエネルギーを得るための装置であり、太陽光発電システムの中核を担う装置です。「太陽光モジュール」「ソーラーモジュール」「太陽光パネル」とも呼ばれ、太陽光を効率良くエネルギーに変換するためには、ソーラーパネルの変換効率が重要です。

一般的にソーラーパネルの寿命は20~30年程度といわれていますが、汚れや部品の経年劣化によって変換効率が落ちてしまうため、定期的なメンテナンスも必要となります。

接続箱

接続箱とは、ソーラーパネルとパワーコンディショナーをつなぎ、エネルギーを取りまとめるための装置です。接続箱には最大入力電圧が定められているため、ソーラーパネルの規模に合った最大入力電圧の接続箱を選定する必要があります。

パワーコンディショナー

パワーコンディショナーは、ソーラーパネルで変換された直流の電気を家庭や施設で使える交流の電気に変える装置であり、「パワコン」や「PCS」と呼ばれることもあります。太陽光発電システムでは直流の電気が作られますが、送電される電気や家庭で使う電気は交流であるため、パワーコンディショナーで交流に変換する必要があります。

パワーコンディショナーにもソーラーパネルと同様に変換効率があるため、可能な限り高効率のものを選びましょう。基本的にソーラーパネルよりも早く寿命を迎えるため、このパワーコンディショナーの劣化が変換効率低下の原因であることもあります。10年~20年程度で取り換えが必要になることが想定されます。

分電盤

分電盤(ブレーカー)とは、パワーコンディショナーで作られた電気を、各部屋の電源や蓄電池に分配する装置です。分電盤自体は一般的な家庭に設置されていますが、太陽光発電のために用いる場合、専用のものを選ぶ必要があります。

電力量計

電力量計とは、電気エネルギー量を測定するための機器です。一般的な家庭には電力会社から送電されたエネルギー量を計測する買電用のメーターが設定されていますが、太陽光発電によって生成した電気を電力会社に売電する場合、「売電メーター」と呼ばれる専用の電力量計が必要です。

蓄電池

蓄電池とは、太陽光発電システムで生成した電気を貯めておくための装置です。蓄電池があれば、雨や雪の日、夜などの日照がないタイミングでも、貯めておいた電気を使用できるほか、災害時の非常用電源としての役割を果たすこともできます。

太陽光発電システム導入で得られるメリット

太陽光発電には自家消費の電気代節約や、売電による収益・エコへの貢献に加えて、停電時などの災害に強くなるというメリットがあります。太陽光発電の発電量は日照・気象条件に左右されるため、常に一定の電力を確保できるわけではありませんが、停電時に一切電気が使えなくなるわけではないという安心感を得ることができます。

他にも、ソーラーパネルが太陽光を受け止めることで、屋根が太陽熱で温められることを防ぐというメリットもあります。屋根の温度上昇を抑えることで部屋の温度上昇も抑えることができるため、特に夏場は部屋が涼しくなります。反対に冬場は屋根から暖かい空気が逃げるのを防ぐため、断熱効果もメリットとして挙げられます。

まとめ

2012年の住宅用太陽光発電システムへの補助金受付が開始されたことをきっかけに、太陽光発電システムの導入は急速に進んでいます。経済産業省の<再生可能エネルギー発電設備の導入状況等(https://www.fit-portal.go.jp/PublicInfoSummary)>の統計によると、2019年3月から2020年3月の間に固定価格買取制度における再生可能エネルギー発電設備を新たに導入した住宅は約15万戸にも上り、多くの人が太陽光発電システムの活用に乗り出していることがわかります。

太陽光発電システムは、節電や売電による経済効果、エコへの貢献、災害対策とさまざまなメリットがあります。もちろん、長期的な運用や安くない導入コストなども必要で、いいことばかりではありません。

ですが、日本のエネルギー自給率向上に向け、政府が固定買取制度や補助金制度などによる太陽光発電システムの導入支援を実施している、「今」が導入を検討するタイミングなのかもしれません。

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