太陽光発電の売電価格は?知っておきたい傾向と見通し

太陽光発電を導入する際、多くの方が気になるのは売電価格でしょう。年々下落傾向にあることが理由で導入をためらうという声も見受けられます。この記事では、太陽光発電の売電価格について、これまでの傾向や今後の見通しについて紹介しています。

2種類の価格決定方法:固定価格買取制度と入札制度

太陽光発電の売電価格は一般住宅用などは主に「固定価格買取制度」によって定められますが、一定以上のkwを売電可能な場合は入札制度・方式によって決められる場合もあります。

固定価格買取制度:一定期間は同じ価格で売電可能

再生可能エネルギーの調達に関わることを取り扱う調達価格等算定委員会の意見をもとに、経済産業大臣が最終的な価格を決定します。電力の規模によって価格は異なり、10kW未満か10kW以上かで売電の仕組みが異なります。一般的な居住用の住宅に設置する場合、基本的には10kW未満の売電価格が適用されます。

太陽光発電の売電価格は年によって変動しますが、FIT(固定価格買取制度)により、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が「一定価格」で「一定期間」買い取ることが約束されています。この制度は、太陽光発電システムの導入にかかった初期費用を回収できることを考慮して定められたものです。

規模が10kW未満の場合、2019年度は24円/kWh、2020年度は21円/kWhです。詳しくは次章で説明しますが、売電価格は年々減少傾向にあります。しかし、10年間は一定価格で買い取ることが約束されているため、売電を開始してから価格が下がっても、10年間は最初の価格で買い取ってもらうことができます。

入札制度:一定以上の規模で、条件を満たせば利用可能

一定以上の規模の電力の場合、この入札制度が太陽光発電によって生成された電気の売買に適用されます。売り手に一番有利(高価)な条件を出した買い手に売電することができるため、より高い価格での売電が期待できます。

また、2018年度は2,000kw〜だったのが、2019年度は500kw〜というように、入札制度が採用される電力量の対象は年々拡大されています。

一般的な居住用住宅における太陽光発電の場合、入札制度の利用は考えにくいですが、大規模な太陽光発電設備の導入が可能な場合はより高い価格で買い取ってもらえる可能性があるため、一考の価値があります。

下降傾向に推移している売電価格

残念ながら、太陽光の売電価格は年々下がっています。10kW未満の場合、2010年度は48円/kWhでしたが、2020年度は21円/kWhとされており、10年間で半分以下の金額まで下がっています。

売電価格が下がったことで、一見太陽光発電の導入の価値は以前と比べて下がったようにも見えますが、売電価格だけでなく初期投資の設備費用自体も下がっています。技術の進歩や太陽光発電システムの普及により、以前と比べて低コストで導入できるようになりました。それに伴い、太陽光発電システムは、2011年から2019年にかけて半分程度の価格で導入できるようになりました。

そのため、一概に太陽光発電システムの設置にかかった費用の回収が遅くなったとは言えません。

注目された「2019年問題」

2009年にFITの前身となる売電制度の「余剰電力買取制度」が開始しました。余剰電力買取制度における売電期間は10年間と制限があるため、制度開始から10年目となる2019年には初めて「売電期間の満了」を迎える設置者がでました。当時は11年目以降余剰電力の買取がされるのかどうか不透明な状態でした。このような不安や問題をまとめて「2019年問題」と呼ばれ、注目されていました。

結果として、11年目以降も余剰電力の買取はされることが確定したため、懸念されていた「11年目以降余剰電力の買取がされない」という事態にはなっていません。しかし、売電価格は大きく低下しており、今後さらに低下していく可能性があります。「2019年問題」は現在大きなトラブルには発展していませんがFIT終了時点で売電価格が今以上に低下するというリスクは認識しておくことは重要です。

FIT終了後の売電価格

FIT買取期間終了のことは、FIT制度から卒業するという意味で、「卒FIT」と呼ばれています。

FIT期間終了後に余剰電力を売電する方法として、小売電気事業者などと独自に結ぶという手段があります。また、各電力会社が独自に提示する「卒FIT買い取りサービス」で、新しい売電価格の契約を結ぶという方法もあります。

価格はさまざまですが、「卒FIT買い取りサービス」では、7.0円/kWhから9.0円/kWh程の価格で取引されることが多いようです。

FITで定められている2020年度の21円/kWhという価格と比べると低下はしていますが、設置費用回収後に余剰電力を利用して利益を得られると考えれば、悪いことではないでしょう。

太陽光発電の売電価格の今度の見通し

先述のとおり、太陽光発電の売電価格は年々下がっており、今後売電価格が上昇する可能性は低いでしょう。一方で、必要な初期費用も下がっています。先述のとおり、固定価格買取制度(FIT)が定める売電価格は、太陽光発電システムの導入にかかった初期費用を回収できることが考慮されているため、売電価格の減少は、太陽光発電システムの導入にかかる初期費用の減少と関連していると考えられます。

まとめ

太陽光発電の売電価格は経済産業省によって定められ、電力の規模によって売電の仕組みが異なります。太陽光発電の売電価格は年々減少傾向にありますが、FITにより10年間同じ金額で買い取ってもらうことができます。

売電価格の低下と共に太陽光発電システムの導入にかかる初期費用も低下傾向にあるため、以前と比べて導入しやすくなりました。また、売電価格は低下しているものの、10年間は一定の価格での買取が保証されており、その後の売電も現在は可能であるため、太陽光発電システムの導入の価値は十分にあると考えられます。

ただし、売電価格は年々変動しています。太陽光発電を導入する際はその年度の売電価格や、FITについて従来と変更がないかどうかなど、最新の情報を収集をお忘れなく。

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