自然エネルギーと発電、その種類や課題は?

自然エネルギーは、太陽光、風力、地熱など自然によって得られるエネルギーの総称で、再生可能エネルギーの一部です。昨今注目されている太陽光発電も、自然エネルギーの一つです。この記事では、自然エネルギーの種類やそれぞれの特徴、課題について解説します。

自然エネルギーとは

自然エネルギーとは、太陽光、風力、地熱など自然によって得られるエネルギーの総称であり、二酸化炭素(CO2)の排出量も少なく、地球環境への負担が少ないことから「クリーンエネルギー」とも呼べます。

自然エネルギーは、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料と比べて二酸化炭素排出が少なく、地球環境への負担が少ないため、新たな次世代エネルギーとして期待されています。特に、地球温暖化対策として自然エネルギーが注目されています。

自然エネルギーの特徴

自然エネルギーの特徴は、温室効果ガスを排出しないこと、枯渇してしまう心配がないこと、固定価格買取制度(FIT)を活用できることです。「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」は、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。(参照:経済産業省資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/surcharge.html

資源に乏しい日本では、エネルギーの供給のうち、化石燃料が多くの割合を占めており、そのほとんどを海外に依存しています。特に東日本大震災後、温室効果ガスの排出量が増加しており、2013年度には過去最高の排出量を記録しました。エネルギー自給率は10%を下回っており、エネルギー安定供給の観点から、この改善を図っていくことが重要となります。再生可能エネルギーは国産のエネルギー源であることから、エネルギー自給率の改善にも寄与することができます。

加えて、自然エネルギーの活用は世界的に課題となっている環境保全への貢献にもつながります。2016年に発効したパリ協定では、(1)世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること、(2)そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとることなどが合意されました。

再生可能エネルギー及び自然エネルギーは、温室効果ガスを排出しないため、パリ協定の実現に貢献することができます。

自然エネルギーの現状

日本の電源構成に占める再生可能エネルギー比率は、2017年で約16%となっており、ドイツの約33%、イギリスの約30%など、欧州に比べると低い水準にあります。

資源エネルギー庁の「2030年エネルギーミックス実現へ向けた対応について」によると、再生可能エネルギーの比率が22~24%になるように取組指標を設定しており、将来的には再生可能エネルギーを主力電源としていく方針を示しています。

(参考:https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/025/pdf/025_008.pdf

自然エネルギーを用いた発電の種類と課題

太陽光発電

太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。近年最も伸び率の大きい自然エネルギーであり、設備や価格面で比較的導入しやすいという特徴を持ちます。

課題は、「気候条件により発電出力が左右される」ことや「景観を損なう」ことです。

風力発電

風力発電は、風車場によって風力でエネルギーを得て発電する方法です。日本では現在陸上への設置が中心ですが、洋上への設置も検討されています。水力を除く他の自然エネルギーに比べて電気エネルギーの変換効率が高く、太陽光と違い夜間でも発電できるなどの特徴を持ちます。

課題は、「適した場所が限られている」ことや「安全性」です。風況や周辺環境への影響を配慮しなければならず、騒音が発生するため、適した場所が限られてしまいます。また、風車落下などの事故も起きており、安全性の確保が求められます。

地熱発電

地熱発電は、地下のマグマの熱エネルギーを利用した発電方法です。地上で降った雨は地下の高温マグマ層まで浸透すると、マグマの熱で蒸気になって地下1000m〜3000m付近に溜まります。井戸などを掘ってこの高温の蒸気を取り出し、タービンを回すことで発電するという仕組みです。

発電量が、昼夜・年間で変動することもなく安定した発電量を得られることや、環太平洋火山帯に位置する日本は、世界でも有数の豊富な地熱資源に恵まれているなどの特徴を持ちます。

課題は、発電施設を作るための調査や開発に「膨大な時間とコストがかかる」ことと、地熱発電に適した場所が温泉地や国立公園などが多いため、「地元関係者との調整が必要」なことです。

水力発電

水力発電は、水の流れを利用した発電方法です。日本は水資源に恵まれていることから、水力発電は古くから主流の発電方法でした。ダムで水力エネルギーを利用した発電をするのが一般的でしたが、近年は中小水力発電の建設も活発化しています。中小水力はさまざまな規模があり、河川の流水を利用する以外にも、農業用水や上下水道を利用する場合もあります。

水力発電は日本の電源構成の8%程を占めており、変換効率が高く、発電や管理コストが安いなどの特徴を持ちます。

課題は「降雨量によって発電量が左右される場合がある」こと、「ダムの建設には膨大な費用がかかり、環境や生態系にも影響を及ぼす可能性がある」ことです。

まとめ

これまで述べてきたとおり、地熱発電は、小規模での実施が難しく個人で設置するのは現状困難です。風力発電や水力発電は、設置自体はできるものの、十分な電力を確保しにくかったり、騒音などのトラブルが懸念されたりするため、やはり個人での設置は困難と言わざるを得ません。

現状、個人で行えるものとしては、太陽光発電が有効と言えるのではないでしょうか。

日本は資源に乏しく、エネルギーの供給の多くを海外から輸入した化石燃料に依存しています。エネルギー安定供給の観点からも、クリーンエネルギーの観点からも、国産のエネルギー源である再生可能エネルギーの一つである自然エネルギーが注目されています。

それぞれの自然エネルギーを活用した発電方法を理解し、積極的に取り入れることで、エネルギー自給率の改善や環境保全への貢献につながっていくでしょう。

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